SDGs Challenge MIE

左：平松大知専務　右：平松洋一郎社長

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津市に、全国的にも数少ないスタイルの老人介護施設があるのをご存知でしょうか。
特定施設入居者生活介護「虹の夢 津」。
こちらが他の施設と異なるのは、同一敷地内に
「就労継続支援多機能型事業所トモニス」を併設している点です。

虹の夢 津を訪問すると、
トモニス利用者がいきいきと働く姿を目にします。

介護業界は、慢性的な人手不足による労働環境の悪化が問題となっていますが、
ここでは、そんな様子は見受けられません。

その理由は、
清掃や洗濯、シーツ交換などの雑務や、簡単な介護業務の補助を
トモニス利用者が行っているからです。
おかげで、介護スタッフは、介護の仕事に専念でき
高いサービス品質を維持しています。

一方、障害のある方は、
見守られながら働ける場で社会との接点を持ち、
やりがいを得ることができます。

これまでに、事業所を卒業し虹の夢 津で直接雇用された人は3名。
両施設間でWIN-WINの関係が築かれています。

さて、ここでもう1社、
鋼構造物製造と大型車輌洗車機製造の株式会社ヒラマツに登場願います。

先の2施設とは随分異なる硬質な会社がなぜ？
と思われるかもしれませんが、
実は、こちら、虹の夢 津とトモニスの母体会社なのです。

3年ほど前からヒラマツにも、毎日トモニス利用者がやってきます。
仕事は、事務所・工場・共有スペースの掃除や、簡単な部品組み立てなど。

障害のある方が社内で仕事をするにあたって、
当初は「難しいだろう」という意見が多かったと言います。
特に、工場内の作業は、危険が伴うことやミスが許されないこともあり、
反対する社員もたくさんいました。

それでも推し進めたのには理由がある、と平松社長。

今後、少子高齢化がすすむのは疑いようのないことで
当然、人手不足が問題になります。
であれば、障害のある方が
社内でそれぞれの適性にあった場所を見つけて力を発揮できることが、
会社にとっても彼らにとっても好都合ですよね。
障害者雇用と言うと、社会貢献のイメージで捉えられることが多いのですが
それだけではありません。
会社の持続・発展に必要なことだと考えています。

実践して3年、ヒラマツに変化がありました。

障害のある方でも適性によって
さまざまな作業ができることを知るうちに、
自然と「先入観を捨て、やらせてみる」というふうに
社員の行動が変わりはじめたのです。

これは、障害のある方に対してだけでなく、会社全体に広がり、
社員一人ひとりの個性が生きる風土が育まれつつあります。

また、障害があっても無理なく作業ができるよう
環境の整備や手順書作成をすすめたことが、
会社全体の定着率の向上につながりました。

障害のある方が働きやすい職場は
他の社員にとっても働きやすい職場であるというわけです。

虹の夢 津とトモニスの施設長を務める平松専務は、
障害者雇用の課題について語ってくれました。

障害のある方でも、それぞれに得意なことがあって
適性があえば、働くことはもちろん活躍することもできます。
今の課題は、働く場の選択肢が少ないこと。
「やってもらう仕事がない」と、
障害者雇用に消極的な企業が多いのが現状ですが
ヒラマツのような製造会社が実践でき、
かつ、企業の成長につながっていることを伝えていけば、
理解してくれる企業も増えてくると信じています。

多様性を受け入れることで、
企業がより強靭になることを身を持って体験したヒラマツ。
現在、次のステップとして、同様の取り組みを他社に提案し、
徐々にトモニス利用者の就労の場を広げています。

「○○さんとこのトラックはいつもピカピカやなぁって誉められるんさ」と、
笑顔を見せるのは
週に一度トモニスに掃除や部品の点検を依頼している金属加工会社の社長。
はじめは不安もあったが、
障害者を受け入れたことで可能性が広がったと言います。

ヒラマツでは、
社長は、企業を経営する立場で
専務は、障害者を支援する立場で
二人の異なる視点で、双方がプラスになるカタチを試行錯誤しています。
このことが、誰も取り残さない社会づくりに
つながっていくのではないでしょうか。

思い込みや先入観を捨てたヒラマツのチャレンジが、
新たな未来を拓こうとしています。

●特に関連のあるSDGsゴール

▼株式会社ヒラマツ　HP
https://hiramaz.com/

▼特定施設入居者生活介護　虹の夢 津　HP
https://nijinoyume-z.com/

▼就労継続支援A型事業所　トモニス　HP
https://tomoniss.jimdofree.com/