三重県内企業・団体様の取り組み紹介

御浜町
日本土木工業株式会社様

持続可能な事業発展は、社員一人ひとりの暮らしの充実から。

専務取締役 垣本美和氏

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「男性の仕事」というイメージが強い建設業。
事実、総務省の労働力調査(2021年平均)によると、
建設業の女性の就業者数比率は16.7%で、
全産業における女性就業者比率44.7%に比べかなり低いことが見てとれます。

建設業界では、官民一体で女性活躍を推進していますが、
まだまだ全体に浸透していないのが現状です。

そうした中、女性が活躍できる環境づくり・風土づくりに取り組み、
業界のみならず三重県内の女性活躍を牽引している建設会社が、三重県御浜町にあります。

▲御浜町の豊かな自然に囲まれた社屋

日本土木工業株式会社は1995年設立、
道路工事・橋梁工事・湾岸工事など主に公共工事を請け負う建設会社です。
従業員27名中女性は8名。
その中の2名が現場監督として働き、また、1名は監督見習いとして勉強中。
現場事務と施工サポートを兼ねている女性もいます。

▲現場で働く女性社員

▲現場事務所の事務を担当する女性社員

同社の女性活躍は、なぜここまで進んだのでしょうか。
「女性が活躍できる職場づくり」を推進してきた専務取締役の垣本美和氏に
お話しを伺いました。

▲専務取締役 垣本美和氏

「国や業界が推進したからはじめた、というわけではないんです。」

同社が女性活躍推進に取り組み始めたのは2006年。
国土交通省と建設業5団体が
「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を策定したのが2014年ですので、
その8年前になります。

きっかけは、当時面接をした女性の「現場監督になりたい」という願いでした。
垣本氏は事務員として入社し、
その後、さまざまなことにチャレンジするチャンスを与えられ、成果を上げ、
今や専務に昇進しています。
自分自身が与えられたチャレンジの舞台を、彼女にも提供し夢を叶えてあげたい。
そんな思いが湧きあがったと言います。

晴れて、彼女を採用し女性現場監督誕生・・・と思いきや、
そこは長らく男性社会であった建設現場。
さまざまな課題に直面することとなりました。

まずは、ハード面です。
当時、現場には仮設トイレが1つしかなく男女兼用。
現場の着替えや休憩場所も同様で女性専用のスペースがなくその対策が急務でした。
また、女性のライフイベントや家庭との両立を図るための制度がなく、
長く働ける環境の整備も必要でした。
これらは、設備を整え、制度を構築することでクリアできましたが、
時間を要したのは、意識面の改革です。

▲女性専用のトイレと休憩室が整った現場事務所

彼女が現場監督としてスタートした当初、作業員は全て男性。
協力会社の作業員の中には彼女の指示に従わなかったり、困るのを見て面白がったりする人も。
「男女平等って言うんやったら女の人も外で着替えたらええ。重いもの持って高いとこ登れ。」
という声もありました。

意識変革は容易ではありませんでしたが、
話し合いや研修を通じて、女性が活躍する意義を何度も何度も伝えることで、
みんなの行動や言動が変わっていきました。
そして、本人も女性であることに甘えることなく経験を積み、
土木施工管理技士の資格を取得し、実力をつけていきました。

このように、
設備の見直しや制度整備、意識変革や風土づくりなどを通じて
徐々に女性が活躍できるステージが整い、
今では彼女の後に続く女性社員も増えています。

一人の女性の夢を叶えたい、という思いで取り組みを始めて16年。
女性活躍は、会社に多くのメリットをもたらしています。

ひとつは、人材難の時代の中、能力のある女性に働いてもらえること。

もうひとつは、女性視点での提案や改善です。
男性視点では気付かないことや、これまで当たり前だったことへの疑問など。
多様な視点が、安全・品質の向上とより働きやすい環境づくりに役立っています。

さらに、もうひとつ。
女性が働きやすい職場環境を整えることは、
結果、男性にとっても働きやすい職場になったことです。
同社の育休取得率は男女ともに100%。
多様な働き方に対応し、時短勤務も可能です。
また、非力な女性のためのテクノロジーの導入や工夫は
男性にとっても負担の軽減になります。

垣本氏が目指すのは「社員みんながこの地域で安心して子供を産み育てられる会社」。
子育て家庭が増え、その子らもこの町に暮らせば地域は活性化し、事業も発展。
そうなれば会社はより働きやすい環境を構築できます。
このループが持続可能な事業発展・持続可能な地域づくりにつながるのです。

今年、三重県建設業協会女性部の中に「パールこまち」という組織が発足しました。
建設業界の担い手の確保を目的に、
各社が働き手から選ばれる企業になるよう
各支部から選出された女性が定期的に情報交換を行っています。
この会に、垣本氏は幹事の一人として参加をしています。

女性活躍の取り組みを通じて誰もが働きやすい職場へと
変化をとげてきた日本土木工業。
会社の発展に社員一人ひとりの暮らしの充実が欠かせないという考えと、
それを体現してきた実践は、
好事例として業界全体の取り組みを推進していくでしょう。

企業・団体プロフィール

  • 名称

    日本土木工業株式会社
  • 住所

    〒519-5205 三重県南牟婁郡御浜町大字引作141-52
  • 電話番号

  • 事業内容

    総合建設業
  • HP

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