SDGs Challenge MIE

▲SDGsアイデアコンテスト2020最優秀賞受賞　NEMU 宿泊課

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1964年の開業以来、
日本の皇族をはじめ国内外のVIPをもてなし、
伊勢志摩の迎賓館として
歴史を積み重ねてきた鳥羽国際ホテル。

格式と伝統を誇るこのホテルで、
今、新たな取り組みがすすんでいます。

▲風格漂う鳥羽国際ホテル

▲主水岬から見下ろす鳥羽湾の風景

ホテルを訪問した6月25日。
この日、大ホール・海城（あまぎ）では
「SDGsアイデアコンテスト2020」が
開催されていました。
参加者は、同ホテルの運営会社である
伊勢志摩リゾートマネジメント株式会社が運営する
4施設（鳥羽国際ホテル・潮路亭・NEMU RESORT・NEMU GOLF CLUB）の
選抜メンバーです。

▲SDGsアイデアコンテスト2020

同社が毎年6月に開催していた
「サービス・料理コンテスト」を、
今年は「SDGsアイデアコンテスト」に改めると
決定したのがおよそ2カ月前。
開催告知にあわせて、
スタッフには3つのルールが通達されました。

1つ目は、
SDGsのテーマ
「12／つくる責任つかう責任」
「14／海の豊かさを守ろう」
「15／陸の豊かさも守ろう」
に関するアイデアであること。

2つ目は、
少なくとも1人1アイデアを提出すること。

3つ目は、
各部署で予選をし、代表チームを本選にあげること。

昨年の夏に
SDGsの取り組みをスタートしていた同社。
とはいうものの、
スタッフの多くが、言葉は知っていても中身はよくわからない…
といった状況で、
コンテストにあたっては、
各部署、SDGsの勉強からスタートしたと言います。
そして、ひとり一人が理解を深めたうえでアイデアを出し、
部署ごとに予選会を開催した結果、
約200件の中から16件のアイデアが
本選に勝ち上がってきました。

一例を挙げると、

施設課からは、
敷地内にある合併処理場の放流水を
水力発電に利用するというアイデア。

経理部からは、
県内農家の「小さすぎて売れないイチゴ」を
利用してイチゴジャムを作るというアイデア。

セールス＆マーケティング部からは、
ウバメガシで備長炭を作り、
樹木伐採で森林の荒廃防止に貢献しようというアイデア。

NEMU GOLF CLUBからは
廃棄するロストボールを利用して
マーカーを作成するというアイデア。

そんな中、最優秀賞に選ばれたのは
NEMU RESORT宿泊課の中村さんと城山さん。
砂浜に打ちあげられたゴミや流木を利用したオブジェで
ゲストに海の現状を知ってもらおうというアイデアです。

▲NEMU宿泊課の発表の様子

世界的な問題である
マイクロプラスチックによる海洋汚染。
大きな原因のひとつは
何気ない「ポイ捨て」だと言います。
それが内陸部であっても、
風で小川や溝に運ばれ、海に流れ出てしまいます。
「ポイ捨て」をなくすには、
一人ひとりの意識を変える必要があると考え、
施設を訪れるゲストに
海の現状を知ってもらうアイデアを思い付きました。

具体的な内容は、

　マリンアクティビティ開催時に海の現状を伝える
　海洋ゴミを色別にわけて施設内に展示
　流木で作ったオブジェを施設内に展示
　ゴミ拾い＆流木オブジェのクラフト体験

です。

地元出身のお二人。
海とともに暮らしてきたからこそ、
どうにかしなくてはという思いが
このアイデアにつながったのではないでしょうか。

▲夕日に染まる浜・日向ぼっこの浜で拾ったプラスチックゴミと流木

▲浜で集めた流木で作ったオブジェやフォトフレームを披露

▲梨元代表取締役社長から副賞を進呈

コンテスト終了後、総支配人の惣明福徳氏に
お話を聞くことができました。

▲総支配人・惣明福徳氏

同社がSDGsに取り組み始めたきっかけは
アワビの漁獲量が激減したことだと言います。

大きな原因のひとつは
藻場減少による磯焼けです。
環境汚染によって海の生態系が崩れ
これまで地域を支えてきた
海の産物がなくなるかも
という危機感に襲われました。

さて、取り組みを決めたものの、
17すべてのテーマはあまりに壮大で
自社との関りが見えてこないのでは・・・と感じた惣明総支配人。
そこで、会社として取り組むテーマを
「12／つくる責任つかう責任」
「14／海の豊かさを守ろう」
「15／陸の豊かさも守ろう」
に絞ることにしました。

そして、最初に取り組んだのが
フードロス削減を目的とした商品開発です。

当ホテルの人気商品・チーズケーキは
製造過程でできる焼きむらやひび割れが原因で
販売できないものがあります。
これを利用して、「シュクレフロマージュ」を開発しました。

この成功によって、
それまでSDGsを漠然ととらえていた多くの人が
事業と関連付けて考えられるようになったと感じています。

さらに、今回のコンテストによって
浸透が深まりました。

これからも、持続可能な社会を実現するための
アイデアを吸い上げて
カタチにしていきたいですね。

▲見た目の問題で販売できないチーズケーキを利用して作ったシュクレフロマージュ

鳥羽・志摩の自然をラグジュアリーな価値に昇華させ、
喜びと感動を生み出している同社の4施設。
自然は、築き上げてきたブランドを構成する
重要な要素のひとつといえます。
同社の事業は、まさに自然とともにあり、
将来的な経営を考えることと、
自然環境の維持を考えることは同列なのでしょう。

地球が悲鳴を上げようとしている中で、
自然との共存を本気で考え行動をはじめた同社。
その先に、きっと美しい未来があることを信じています。

▼鳥羽国際ホテル HP
https://www.tobahotel.co.jp/

▼潮路亭 HP
https://www.shiojitei.jp/

▼NEMU RESORT HP
https://www.nemuresort.com/

▼NEMU GOLF CLUB HP
https://www.nemuresort.com/nemugolf/